手打ちそば てらっぱだげ
そば 4.46 | つゆ 4.31 |サービス 4.35 | 雰囲気 4.50 | 周辺 3.90
▲雄勝湾の高台に建つ山小屋風の建物。
津波で自宅も店も全壊し、震災直後はその日をしのぐことで精一杯だった。
先がまったく見えない状況の下で、数日後にやっと携帯電話が繋がったときには、200件以上もの安否を心配する着信やメールが入っていた。
店の再開は困難だった。何年かかるか分からない。しかし背中を後押ししてくれたのは、沢山のお客さんからの気遣いや励ましの声だった。
再開に向けて踏み出したご主人。
瓦礫を撤去した自宅跡に、新たに店を建て始めた。
始めはすべて自分の手で店を作っていたご主人だったが、2012年の春にはボランティアでプロの建築技師が住み込みで作業を手伝ってくれて、店づくりがどんどん進んで行った。
噂を聞きつけたボランティアの人々もたくさん手伝いにきてくれた。店の柱には津波を被った裏山の杉の木を使い、窓ガラス、テーブル等、わずかに残った店の一部は、丁寧に磨いて再利用した。
メディアにも何度か取り上げられ、新しい出会いもあった。新聞に載った記事を見て訪ねてきたという東京の廃業した蕎麦屋の方から、役立ててほしいとそば道具一式を譲り受けた。
当初3年は掛かると思っていた再建だが、大勢のボランティアの方々の支援があり2012年9月にプレオープン、2012年11月には正式再開にこぎ着けた。
「ボランティアの皆様には言葉には言い尽くせない感謝でいっぱいです。少しずつですがこの町で感謝の気持ちを返していきたい。」
▲海中に浸った額縁は綺麗に洗って再び飾った。
「この町にオアシスを提供したい。」と頑張るてらっぱだげ。まっさらになったこの土地にも、ほっと一息つける場所がある。
再開してからは、よくお客さんに灯台の様だと言われるそうだ。誰もいない所にポツンとある灯台。暗い海を照らし船を導く灯台。
「雄勝はふる里だから、やっぱり離れられない。ここでずっと続けていきたい。」
ふる里を想う気持ちは、雄勝町の灯台として、復興の道に光を灯している。
2011年3月11日、東日本大震災で20mを超える津波が雄勝町を襲った。
あれから2年、町の中心部だった場所は、大きな建物の残骸だけを残し、いまだ瓦礫を処理するトラックや重機が行き交う物寂しい景色が広がっていた。
災害の傷跡がまだ残るこの場所に、蕎麦屋ののぼりが元気に風になびいていた。
のぼりの続く方へ目を向けると、ログハウス風の建物がぽつんと佇んでいるのが分かる。
「手打そば てらっぱだげ」。雄勝湾を見渡せるこの高台で、一軒の蕎麦屋が営業を再開していた。
店の名前は以前と同じ「てらっぱだげ」。
”寺畑(てらばたけ)”を表す方言で、地元の人にもなじみ深い。
震災発生から1年半、手造りの新しい店で、久しぶりに蕎麦を打つことができた。
メインは外二の藪蕎麦と更科蕎麦。
プレオープン時は土日のみの営業で、ざる蕎麦と更科蕎麦のみの提供だったが、少しずつ蕎麦打ちの感覚を取り戻していき、メニューも徐々に増やして行った。フルオープンしてからは天ぷらや鴨南蛮も出せるようになった。
地産池消にこだわっていきたいが、まだ地元での安定した調達は難しい。 自然薯や牡蠣、三陸の海の幸や、季節によって味わえる食材を、少しずつ追加していく予定だ。
現在も日々美味しい蕎麦を打つため研究を続けているご主人。今回の冬の寒さで、一番美味しく食べられる蕎麦の温度に気付いたという。つゆ、化粧水の温度やタイミングにまでこだわった本格蕎麦は、街中でもなかなか味わうことは出来ないだろう。
メニューも少しずつ増やして、ゆっくり前に進んでいるところです。
雄勝町のオアシスになれればいいなと思っています。 お越しの際は、是非くつろいで行ってください。
- 店名
- 手打ちそば てらっぱだげ
- 電話
- 0225-57-3222
- 住所
- 宮城県石巻市雄勝町雄勝字船戸神明10-10
- 営業時間
- 11:00~18:00頃(日没まで)
- 定休日
- 火曜・水曜
- 席数
- 18席
- 喫煙
- 不可
- 駐車場
- 10台